バスを待つ。
雪戴く木々にさえずる鳥の声を聴く。
四十雀のフォルムと色調は、冬の枯れ枝と淡い青空によく映えていた。
わたしが幸福を実感するのは、物質的条件や人々の評(価/判)の追求においてではない。すでに与えられている生きているというよろこびを、(たとえそれが雪の香りのように微かにでも)感受し得る自己の力能の確認においてである。
他者や自然との〈交歓〉という単純な祝福を感受する能力の獲得をとおして、〈現在〉の生が、意味に飢えた目を未来にさしむける必要もなく充実してある(…) 見田宗介『現代社会はどこに向かうか――高原の見晴らしを切り開くこと』p.99