西村佳哲『自分の仕事をつくる』
副業のことを考えるために、読む。
副業、そしていつか独立して本業に、と。
「無理だろうそんなこと、非現実的な。そんなこと思っていると知られるだけでも恥ずかしい」
と自分の中の声が聞こえる。
その声は正しいのかもしれない。でも今はその声を無視したい。
以下は、この本を読んでの覚書。
さてこの本は、著者が、さまざまな働き方をしている世界中の人物にインタビューして、「仕事をする」ことについて考察を付している。主に、物を「つくる」という仕事の話が多かった。雑誌とか、パンとか、家具とか、建物とか…。
しかし、「つくる」というのは物ばかりでなく、仕事それ自体も様々な仕方で「つくる」ことができるのだな、と知る。世界には、いろいろな仕事の仕方がある。老人ホームを作る人の話が紹介されていたが、設計に先立って、相当な数の、世界中の老人ホームに訪問し、そこにある設備を自ら使って一時生活する、という体験をした、というエピソード。
「老人ホームを作る」際、「老人ホーム」というコンテンツは同じだったとしても、それを「どのようにして」作るか。それが変われば自ずと、作られるコンテンツのクオリティも変わってくる。
そして「どのようにして」という仕事の「仕方」の部分。その「仕事の仕方」というものも、デザイン可能だし、「作る」ということが可能なのだということ。
覚えておきたいと思ったのは、
・仕事をするにあたって、自分を疎外しないということ。自分を大事にする仕事の仕方をする。
・自分の生活の延長線上から、ものを作っていくこと。
・自分と言う個別的な存在の必要性を見つめていくことで、自分を越えた普遍的なニーズに触れることができるかもしれない。そこから生まれたものは、自分だけでなく他者にも役に立つものになるかもしれない。
・人は「仕事」を通して何かを「つくる」。「自分の仕事をつくる」というのは、メタ的な「仕事」である。
・「仕事は自分をつくり、自分を社会の中に位置づける」メディアだとするなら、「仕事をつくる」ということは、人の中につながろうとすることなのだと思う。自分も、相手も、疎外しない仕事を作りたい。大切なのは、生きた人間である。